ジオン注射について

ジオン注射は、いぼ痔を切らずに注射1本で治す「痔の治療法」の1つで、別名をALTA療法(アルタ療法)とも言います。

当院の痔の治療では、このジオン注射が適応となるケースが非常に多く、これまで5000例以上の治療実績があります。ジオン注射は、日帰りで行える30分程度の治療となります。そのため、「いぼ痔を治したいけれど、治療に時間を取る余裕がない」とお悩みの方にとって、嬉しい治療法と思います。

このページでは、ジオン注射(ALTA療法・アルタ療法)の詳細について説明し、適応となる痔の症状や、治療の流れについてご案内します。ぜひご参考いただき、痔の症状改善にお役立ていただければ幸いです。

ジオン注射とは

ジオン注射(ALTA療法)は、脱出を伴う内痔核に対して注射による治療を可能にした方法です。

ALTAとは、ジオン注射の有効成分である「硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸」の英語名、ALuminum potassium sulfate hydrate・Tannic Acidの頭文字をとった略称です(参照:内痔核治療法研究会WEBサイト)。

ジオン注射

ジオン注射

参照:ジェイドルフ製薬株式会社WEBサイト

ジオン注射を使った痔の治療は、痔核内に注射でALTAを投与することによって、痔核を小さくし、脱出や出血などの症状を改善します。メスを使って切除することはなく、注射だけで痔の治療が完了します。

この治療は特殊な投与技術(四段階注射法)が必要となるため、決められた手技の講習会を受講した専門医でなければジオン注射の治療を行うことができません。

ジオン注射の治療法について

ジオン注射は、切らずにいぼ痔を治せる治療法

ジオン注射とは、いぼ痔を切らずに注射1本で治すという画期的な痔の治療法です。別名、ALTA療法(アルタ療法)とも言います。

ひと昔前なら手術が必要と判断されたケースでも、ジオン注射による治療を行って手術と同等の効果が得られた症例もあり、その効力が証明されています。脱肛を伴ったいぼ痔(内痔核)でお悩みの方にとっては、とても嬉しい治療法と言えるでしょう。

痛みはほとんどなく、治療時間はわずか30分

治療の際は麻酔をかけ、痔核の4か所に注射をします。治療時間は30分ほどでです。痔核を切る手術と違ってジオン注射は、痔核の痛みを感じない部分に注射するため「傷口からの出血」や「傷口が痛む」といった治療中の痛みもほとんどありません。

手術にくらべて身体的・精神的負担が非常に軽いと言えます。また治療は保険適用となりますので、費用の面でも安心です。

ジオン注射の成分について

ジオンとは、硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸を有効成分とする強力な治療薬(硬化剤)です。これらの成分を患部に注射することで、痔核の脱出・出血症状を改善します。

硫酸アルミニウムカリウムは、痔核に炎症・線維化を起こして痔核を退縮させ、脱出や出血症状を改善します。タンニン酸によって、硫酸アルミニウムカリウムによる過度な炎症を抑制し、組織障害を防ぎます。

痔の治療・ジオン注射を受けるには

ジオンを患部に注射する4段階注射法と呼ばれる手技は、難度の高い技術で、教育を受けた医師が在籍する施設でないと治療ができません。多数の症例を扱った実績のある、専門医による治療がおすすめです。

■その他の注意・リスクなど
  • すべての脱肛する内痔核を治せるわけではなく、脱肛の程度と特徴からジオン注射では治療ができないと判断した場合には手術治療となります。
  • 再発する可能性はゼロではありません。再発した場合には、再度ジオン注射による治療ができます。

ジオン注射の適用症状

肛門周辺の粘膜の下には、血管が集まって肛門を閉じる働きをするクッションのような部分があります。肛門への負担が重なると、クッションを支える組織(支持組織)が引き伸ばされ、クッション部分が大きくなり、出血したり肛門の外に出たりするようになります。これが痔核です。

肛門の仕組みと痔

痔核には、直腸側にできる内痔核と、肛門側にできる外痔核があります。また、内痔核が大きくなって脱出するようになると、肛門側の痔核、つまり外痔核を伴って内外痔核という状態になることもあります。ジオン注射(ALTA療法)は、主に内痔核に対して改善が期待できる治療法です。

肛門の仕組みと痔

肛門の仕組みと痔

ジオン注射の適用となる内痔核

内痔核の中でも、進行度合いによって治療法は異なります。内痔核の進行度合いは一般に、脱出度によるGoligher(ゴリガー)の臨床病期分類使って、4段階に分けられます。

ほとんどの内痔核(いぼ痔)が、お薬やジオン注射で改善されますが、脱肛の程度がかなり進むと、ジオン注射では改善されないケースもあります。

脱肛の程度 4段階

脱肛の程度 4段階
■ Ⅰ度:脱肛はしていない
出血や痛み、違和感が主症状です。出血の程度は、トイレットペーパーにつく程度です。治療は、主に塗り薬・注入軟膏、座薬、内服薬を使用します。
■ Ⅱ度:排便時に脱肛するが、自然に戻る
おしりから何か飛び出てきた、痛みが出てくる、残便感があるなどが主な症状です。主な治療は、ジオン注射を用いた硬化療法、輪ゴム結紮治療が適用となります。
■ Ⅲ度:排便時に脱肛し、手で押し込まないと戻らない
指で押し込まないと戻らない状態です。運動をしたり、重いものを持ったり、おなかに力を入れたはずみで脱肛することもあります。
主な治療は、ジオン注射を用いた硬化療法、結紮切除法、左記の2つを組み合わせた併用療法、肛門形成術などが適用となります。
■ Ⅳ度:排便時以外にも脱肛している
いつも外に出たままで戻らない。下着が汚れたり、肛門のまわりがかぶれてかゆみを起こしたりします。重症度としては最終段階です。
この程度における治療は、ジオン注射と結紮切除の併用、手術単独(結紮切除法、肛門形成術など)が適用となります。

以上の程度と治療法は、あくまで参考までにご覧ください。いずれにしても、お薬やジオン注射で症状を改善するには、早めに肛門科へご相談いただくことをおすすめします。

治療の流れ

診察・検査のうえ、ジオン注射による治療が決定した場合は、別の日に改めてご来院いただき治療を行います。治療方法はもちろん、治療当日から治療後の過ごし方まで、丁寧にご説明させていただきます。ご安心ください。

治療時間は、麻酔も含めて30分程度

  1. 最初に麻酔(局所麻酔もしくは仙骨硬膜外麻酔)を行います。
  2. 一つの痔核に対して4ヵ所に分割してジオンを局所注射します(4段階注射法)。4ヵ所:上極部粘膜下層、中央部粘膜下層、中央部粘膜固有層、下極部粘膜下層
  3. しばらくすると出血が止まり、脱出も軽くなります。
  4. 1週間から1ヶ月程度で、脱出が見られなくなります。

ジオン注射の流れ

ジオン注射の流れ

皮膚の部分が腫れていても注射できる!

粘膜部分に加えて皮膚の部分である肛門管部分が腫れている方には、4段階に加えて皮膚の部分にも注射を行います(5段階注射法)。当初は皮膚の部分にはジオン注射は出来ないと考えられていましたが、一定量なら可能であることが分かり、肛門管部分が腫れた方にもジオン注射が使用できるようになりました。

治療中の痛みはほとんどなし!

麻酔をかけますので、治療中痛みはほとんど感じません。治療後に肛門付近の違和感、軽い痛みを感じる方もいますが、痛くて帰宅できないことはこれまで一例もありません。違和感も、翌日にはほとんど消失します。

ジオン注射の術後

術後は歩いて帰宅できる!

ジオン注射が終わったら横になって体を休めていただき、その後は歩いてお帰りいただけます。治療後にお気を付けいただきたいことがいくつかありますので、別途スタッフよりご案内させていただきます。

ジオン注射の副作用

翌日にはほとんど消失

射部位の痛み、腫れ、発熱、肛門部の重たい感覚などが見られることもありますが、翌日にはほとんど消失しています。当院では5000例以上のジオン注射を行っていますが、これまでに重篤な副作用は出ておりません。ご安心ください。

ジオン注射の術後

ジオン注射は、治療自体は30分程度で終了となります。術後はその日のうちに家に帰れます。

翌日、通院の必要もありません。ジオン注射の術後に違和感や軽い痛みが出る方もいますが、数日で治ります。治療から1週間後に再度来院していただきますが、それまでに何か気になる症状がございましたら、いつでもご相談ください。当院は月曜~土曜まで毎日診療を行っておりますので、すぐに対応させていただきます。

ジオン注射の費用

ジオン注射の治療費は、保険適用のためご安心ください。ジオン注射は、平成17年の5月から医療保険・手術入院保険の対象となっております。また、診断の結果手術が必要になった場合も保険が適用されますので、経済的負担についても軽減されます。

■ 公的医療保険を使い3割負担の場合の費用の目安
  • ジオン注射治療 17,000円~
  • 診察時にかかる診察料や検査料(心電図、胸部レントゲン写真、採血)などの自己負担はだいたい数千円以内です。

当院の痔の治療方針

痔の治療をお考えの方に安心してご来院いただくため、当院が大切にしているモットーや開院以来多くの患者様からご支持いただいている理由についてご紹介させていただきます。

鶴町クリニックのモットー

痔はできるだけ切らずに治す!

当院では「機能温存を重視しできるだけ切らずに治療を行うこと」をモットーにしております。早期の痔であれば軟膏の注入で治療が可能ですし、従来なら手術が必要だった内痔核(いぼ痔)も、ジオン注射で対応可能な症例が多くなっています。

患者さまに快適な術後の生活を

診断の結果、手術が必要と判断された場合でも「肛門の皮膚(内痔核の場合)や筋肉(痔ろうの場合)は極力切らないこと」が鉄則です。なぜなら、手術後「痔は根治したものの、便が漏れてしまう」といった状態になり、日常生活に支障が出ては元も子もないからです。当院では、治療後の生活も視野に入れ、できるかぎり機能温存を目指して治療を行います。

院長がお一人おひとり丁寧に診療

当院の診療では、お薬の処方、生活習慣の改善、ジオン注射、日帰り手術など、お一人おひとりの痔の原因・症状に合わせて治療法をご提案します。ご来院くださったすべての患者さまを、今まで何千例という治療を行ってきた院長が直接診療いたします。

当院が選ばれる理由

数ある肛門科の中から鶴町クリニックが選ばれる5つの理由をご紹介いたします。

閑静な住宅街・内科併設の医院だから、来院しやすい!

痔の悩みは恥ずかしさもあり、お尻の症状が進んでいても、多くの方が通院をためらってしまうようです。当院は、一般内科も併設しており、肛門疾患以外の方も来院されます。場所も、閑静な住宅街に位置します。そのため、人目を気にすることなく院内にお入りいただけます。

当院の痔の治療は日帰り、その日のうちに帰宅できる!

当院で行う痔の治療は、原則日帰りの治療となります。もし手術の場合でも、麻酔を含めて30分前後で終わります。手術の内容によってはタクシーで帰宅していただきますが、ジオン注射(ALTA療法)の場合は、術後歩いてお帰りいただけます。個人差はありますが、翌日から日常生活に戻れ、翌々日からはお仕事に復帰できます。

月曜~土曜まで、毎日肛門科の診察が受けられる!

当院は、月曜~土曜まで毎日、肛門科を専門とする院長が診察を担当します。お尻のお悩みで来院された場合は、いつでも肛門専門の医師の診察が受けられます。また、ジオン注射・日帰り手術・内視鏡検査は日曜・祝日以外の月曜~土曜日まで、毎日ご予約を受け付けております。

ジオン注射は5000例以上の実績があり、信頼できる!

当院ではこれまで、ジオン注射(ALTA療法)による治療を5000例以上は行っております。日帰り手術については、年間300件ほど扱っております。ジオン注射の治療は、20年以上この東京都世田谷区で診療を続けるベテランの医師である院長が直接担当します。信頼してお任せください。

術後のサポートも万全で、安心できる!

痔の治療症例の多いと当院では、お一人おひとりの治療法に応じた術後の管理体制も万全に整えております。治療前には、治療内容はもちろん、術前や術後のことも説明も丁寧にいたします。当院では、ジオン注射(ALTA療法)を含む肛門科手術の中で、これまで重篤な副作用は経験しておりません。ご安心ください。

ジオン注射の体験談

当院ではこれまで、ジオン注射(ALTA療法)による治療を5000例以上行ってまいりました。治療はベテランの専門医である院長が直接担当し、患者様からは「やってよった」「痛くなかった」とたいへんご好評頂いております。

もちろん満足度には個人差がありますが、多くの方にお喜びいただいているようです。痔のお悩みでご来院される方は、20代から60代くらいまでと男女ともに年齢は幅広くいらっしゃいます。

ジオン注射を受けられる方のケース

  • 子供を出産してから発症し、ずっと悩んでいた方
  • 色々な肛門科の受診をして、軟膏を処方して頂くのですが、効果は一時的だった方
  • 20歳の時から脱肛で悩んでいました。旅行に行っても、お尻の事が気になっていた方

鶴町院長より患者様へのメッセージ

皆さまの悩み種だった痔の不快症状を解決するお手伝いができて、喜んで頂けるのは、私としても嬉しい限りです。しかし、診察をしながら思うのは、「お尻は、自分の目が届く範囲ではないので、異変を感じたら、自己診断せず、来院してほしい。」ということです。

本当に辛そうな方や、入院での処置が必要で、病院を紹介するケースも、いくつか診てきました。痔は、症状が軽いうちに受診していただければ、簡単な処置で完治が望めます。また予防のアドバイスもできます。

少しでも気になるお尻の症状、不安な時は、お気軽に肛門科を受診してほしいと思っております。

監修者情報/鶴町哲也

医療法人社団善精会 鶴町クリニック 院長。大学病院、がんセンターなどで肛門を中心とした内視鏡の診断、治療技術を磨いた後、鶴町クリニックを開院。東京都世田谷区で20年以上、肛門科の診療に携わる。