いぼ痔と切れ痔の予防と治療

いぼ痔や切れ痔は、初期の段階であれば「生活習慣の改善」と「薬」で治療します。痔は、慢性的な排便習慣に原因がありますので、まずは生活習慣を見直して、良い排便習慣をつくることが大事です。

その状態が保たれていないと、ジオン注射などで痔を治療して治っても、再発する可能性がたかまってしまいます。まずは便秘改善に取り組みましょう。また、お尻の症状は、お薬やジオン注射で治せる早めの段階でご相談ください。

痔の予防・改善につながるお尻の習慣とは

痔を予防するにはお尻に負担をかけないことです!お尻に負担をかけない習慣を身に付けるため、次のようなことがおすすです。

まずは排便習慣の改善を!

食後などに便意を催したら、我慢せずに、すみやかにトイレに行くことを、おすすめします。便意が起こった時に、排便を我慢すると、直腸の反応が鈍く弱くなり、便意が起こりにくくなってしまうことがあります。トイレを我慢しない習慣を身に付けましょう。

強くいきまない

便を出すためにいきむと、肛門に負担がかかります。硬くてなかなか出せない、残便感があるといったときなどでも、強くいきまないようにしましょう。排便は便意があるときに行い、いきむ時間をなるべく短くすること心がけましょう。

トイレの時間は短く

排便回数が増えたり、長時間のトイレにより、肛門への刺激が増えることが考えられます。排便にかける時間はできる限り短くしましょう。3分以内が目安です。

入浴

お尻の血流悪化は、痔の原因となります。お風呂で湯船に浸かってお尻周りを温めること血行がよくなります。また肛門を清潔に保てるため、痔の予防には大変おすすめです。

長時間同じ姿勢を続けない

デスクワークや立ち仕事など、長時間同じ姿勢を続けると、肛門に負担をかけます。休憩の際に、少し歩いたり、軽いストレッチをするなど体を動かすようにしましょう。

痔のお薬

痔の薬には、いくつかの種類がありますが、主には軟膏、坐剤を、痔の症状に応じて使い分けます。効果としては、いずれも痛み・出血・はれ・かゆみなどを緩和・抑制する作用となります。初期の痔であれば、生活改善と薬で症状をコントロールし、痔の症状改善が期待できます。

軟膏

軟膏には、患部に直接塗布するタイプと、薬剤を肛門内側に注入もできるタイプ(注入軟膏)の2種類があります。肛門の外側、内側、肛門付近のいぼ痔や切れ痔に使いたい場合に適しています。

坐剤

坐剤は、主に肛門内側の痔に使います。肛門内に挿入すると、肛門内側でお薬が溶けて拡がり、患部に作用します。肛門内に挿入するため、主に肛門内側のいぼ痔、きれ痔に使いたい場合に適しています。

いぼ痔・切れ痔の治療

痔の治療というと、手術を受けなければならないと思って受診を控えてしまう方も多いようです。しかし、痔は基本的には生活習慣の改善とお薬による保存療法となります。万一、進行している場合でもジオン注射(ALTA療法)や日帰り手術で治ります。入院が必要な手術になることは、本当にまれです。そのため、肛門科の医師としては、気になる症状がある場合には早めにご来院いただきたいと思っております。

保存療法

保存療法とは、患部を切除せずに生活習慣の改善とお薬で経過をみていく治療法です。当院でもほとんどのケースの痔が保存療法で改善されます。上記のご説明のように、症状にあったお薬の処方と、お尻にやさしい習慣を身に付けるため、生活習慣・排便コントロールのアドバイスをさせていただきます。

その他の治療の目安

  • 保存療法で改善されない場合の「いぼ痔」は、手術以外にジオン注射という治療の選択肢があります。ご自身の症状と進行具合、手術の方法をよく理解して、医師と相談し治療法を選択いただきたいと思います。
  • 「切れ痔」は、2~3か月治療を続けても改善されず、排便時の苦痛が強いときには手術も選択肢になることがあります。

いずれにしても、治療で一度、痔が治ったとしても、肛門に負担をかける排便を続ければ、再発することがあります。まずは、正しい排便習慣を身につけて痔の予防につとめてほしいと思います。また、お尻の症状で気になることがありましたら、どうぞお早めに肛門科へご相談ください。