原因不明の胃の不調で悩んでいる方はいませんか?機能性ディスペシアかもしれません。胃の痛みや胃もたれなどの症状が続いているにもかかわらず精密検査を行っても病変を認めない疾患を「機能性ディスペシア」と言います。機能性ディスペシアも医療機関にて治療が可能です。病変がないからといって、胃の痛みや胃もたれなどの胃の不調のお悩みを我慢するのではなく、お気軽に医療機関へご相談ください。
機能性ディスペシアとは
胃の痛みや胃もたれなど胃の不調な症状が続いているにもかかわらず、内視鏡を含めた精密検査を行っても明らかな病変を認めない患者さんが増えています。このような疾患を、機能性ディスペシアと言います。
機能性ディスペシアは、生命予後に影響のない疾患ですが、苦痛から気うつになったり、職場での仕事の能率に悪影響を与えるなど、生活の質に影響を与えるため、適切な治療が必要です。
機能性ディスペシアの原因
正常な胃は、食べ物が入ると、胃の上部を広げて食べ物をためます。また、胃の壁を波打つように動かすことで、食べ物を胃から十二指腸へと送り出します。機能性ディスペシアは、これらの胃の働きに異常が生じることや、胃の胃酸に対する知覚過敏によって、胃の不調な症状が引き起こされると言われています。
まだ不明な点も多いですが、胃の働きを調整する自立神経の働きが、ストレスや不規則な生活習慣などによって乱れることが原因の一つととして考えられています。また、感染性腸炎などの感染症をきっかけに発症することもあると言われています。
主な症状について
主に次の4つの症状があります。これらの症状の原因となりそうな器質的な疾患がないにも関わらず、下記の4症状で1つ以上が半年より前から見られ、3カ月以上続いている場合、機能性ディスペプシアと診断されます。
- 食後の胃もたれ感
- 少し食べただけですぐにお腹がいっぱいになる(早期飽満感)
- みぞおちの痛み(心窩部痛)
- みぞおちの焼ける感じ(心窩部灼熱感)
検査と治療について
機能性ディスペシアは、胃潰瘍や胃癌など、症状の原因となる他の疾患がないかを検査した上で診断します。検査は胃の内視鏡検査や腹部エコー検査、血液検査、ピロリ菌検査などを必要に応じて行います。
機能性ディスペシアと診断された場合の治療は、内服治療と生活習慣の改善が基本となります。内服治療では、症状に応じて適切なお薬を処方します。生活習慣の改善では、規則正しい生活、十分な睡眠、食事の見直しをはじめ、お一人おひとりに応じたストレスをためない心がけなど行っていきます。
機能性ディスペプシアは、2013年から保険診療の適用となっています。近年、当院でも検査のうえ、機能性ディスペプシアと診断されるケースは増えています。機能性ディスペプシアは治療を行うことによって症状の改善が期待できます。胃の痛みやもられなどの不快感を慢性的に感じるようであれば、精神的なものなどと一人で我慢するのではなく、お気軽に医療機関へご相談下さい。