痔・がん予防のため暴飲暴食に注意を!

少しずつマスク着用が緩和される中、会食などのご予定が増えている方が多いのではないでしょうか。健康づくりのため、食事を楽しむことはとても大切です。しかし、痔やがんなどの予防のために、暴飲暴食には気を付けてほしいと思います。

皆様が注意すべき病気は新型コロナなどの感染症だけではありません。「元気だから、若いから大丈夫!」と過信せず、引き続き栄養バランスのとれた食生活や規則正しい生活習慣を心がけましょう。

暴飲暴食と痔の関わり

痔の主な原因には、便秘などの排便習慣であることが最も多いです。便秘は、便が硬くなり、排便が困難になるため、排便時に強くいきむこととなります。その結果、肛門に負担がかかります。またそれを繰り返すことでいぼ痔の原因になるのです。その他、便秘で硬くなった便は、肛門を傷つけて、切れ痔の原因にもなります。

食べ過ぎについては、腸内環境が乱れて、便秘や下痢を引き起こす原因になります。飲み過ぎ、いわゆるアルコールの摂りすぎは、痔を悪化させる原因になります。アルコールをたくさんとると、血管が拡張して血流量が増えます。そして、肛門周辺の血流も増えます。しかし、静脈が血液を心臓のほうに送り出す血液量は変わりません。その結果、肛門の血管がうっ血して痔を悪化させてしまうのです。

暴飲暴食による不調のイメージ

宴会などが盛んな時期は、アルコールを飲み過ぎた後に血便があり、ご来院される方が多くいらっしゃいます。痔が原因となる血便は予防もできますので、食べ過ぎ・飲み過ぎには注意してみましょう!もちろん、血便があったときは、痔が原因とは限りませんので、早めにご相談いただきたいと思います。

暴飲暴食と胃がん・大腸がん

胃がんの主なリスク要因は、多量の塩分・喫煙・ヘリコバクターピロリ菌・多量の飲酒が指摘されております。また、大腸がんは、生活習慣と深く関わりのある病気と言われています。大腸がんのリスク要因としては、野菜や果物の摂取不足、肥満、飲酒、運動不足などが指摘されております。

暴飲暴食を続けてしまうと、胃がん・大腸がんのリスクが高まることは、上記からもお分かりいただけることと思います。胃がんも大腸がんも1日でできるものではありません。1つのがん細胞が、検査で発見できるくらいの大きさになるには、10年から20年の時間が必要と言われています。

つまり、がんの発生リスクを減らすためには、健康的な生活習慣を長期間継続することが大切です。できる限り、がんにならないよう予防する。また、もしなっても、早期発見・早期治療で完治させることを心がけましょう。

お尻の症状は早めに相談を!

お尻・お腹の症状は、痔だけでなくその他さまざまな病気の可能性もあります。「痔による血便だと思い込んでいて、検査したらがんだった」などというケースもあり、自己判断はとても危険です。

10~20代で多く発症する病気から、30代以降に発症する病気まで、本当にさまざまです。血便や下血、腹痛や下痢、そしてトイレで「何かおかしい!?」と感じたら、放置せずにお気軽にご相談いただければと思っています。

がん予防には定期的な健診を!

現代において、がんは不治の病ではありません。早期に発見できれば、治癒率はかなり高くなります。しかし、早期がんの場合では自覚症状がほとんど出ませんから、がんを予防、または早期発見・早期治療ためには、症状がないうちに、定期的に検査することがとても大事です。

現在日本では、公的な予防対策として行われるがん検診は、胃がん検診・大腸がん検診・肺がん検診・乳がん検診・子宮頸がん検診の5つがあります。

この5つの検診は、公的な予防対策として行われる検診のため、費用は無料か少額の自己負担で受けられます。また、40歳以上75歳未満の医療保険加入者を対象に「特定健診・特定保健指導」も実施されています。がん検診・特定健診を積極的に受診して健康づくりに取組んでほしいと思います。