すでにブログでも紹介したが受動湾曲という新しい機能の付いた大腸内視鏡(以下、受動湾曲)を使うようになって半年以上がたった。私が、もっとも頻回に用いるのはPCF-P240AIという機種で細径ではあるが、受動湾曲機能はない。この受動湾曲は手術後の癒着や憩室炎による癒着で、挿入が困難なケースに対応するように作られたものだ。当院でも、受動湾曲をこのような症例には是非使うようにしている。
しかし、当院ではこの受動湾曲は、女性の検査に適しているのではないか?と最近考えて、女性の場合は大方この内視鏡を用いるようになった。すでにブログにも書いたが、女性と男性、どちらが挿入困難か?と問われれば、私は女性だと思う。手術の経験や憩室がなくても子宮筋腫、内膜症、排卵期出血などで潜在的癒着が多いのではないか?と考えている。また、男女とも大腸内視鏡検査を受けたがらないことには変わりないが、女性の拒否感はすごい。“絶対嫌だ!” ”考えられない” 説得の仕様がない場合も多い。
このように激しく拒否する理由に、先に述べた潜在的癒着による挿入困難感も含まれているのでは?と考えるようになった。受動湾曲を用いれば、潜在的癒着による挿入困難感の克服は容易だ。受動湾曲が女性の大腸検診受診率向上に役立ってくれるといいが。女性が亡くなる癌で一番多いのが大腸癌である事実を忘れてはならない。