東京・世田谷区経堂、肛門科・胃腸科・消化器科・外科・内科、ソケイヘルニアなら鶴町クリニック

ソケイヘルニア

ソケイヘルニアとは

ソケイヘルニア(鼠径ヘルニア)とは?
股の付け根付近をソケイ部と呼びます。
本来、お腹の中に納まっているはずの臓器(腸など)が、皮膚をかぶって外に飛び出して、膨らんだ状態をヘルニア(いわゆる脱腸)といいます。
ソケイ部に脱腸が起こった状態がソケイ(鼠径)ヘルニアです。

原因は大きく分けて下記の2つ
1.外ソケイヘルニア(外鼠径ヘルニア)
2.内ソケイヘルニア(内鼠径ヘルニア)
があります。

外ソケイヘルニア(外鼠径ヘルニア)

赤ちゃんの頃、ソケイ部にはお腹の内面を覆っている腹膜の一部が、連続して突起状に伸びこれを腹膜鞘状突起と言います。
この突起は、生後間もなく閉じてしまうことがほとんどです。
しかし、中には閉じずに残っている人がいます。
すると閉じずに残った腹膜鞘状突起の中の開存したスペースに、お腹の臓器が入り込み、脱腸を起こした結果、ソケイ部が膨らみます。
これを外ソケイヘルニア(外鼠径ヘルニア)と言います。

外ソケイヘルニア

外鼠径ヘルニアと腹膜鞘状突起の関係
左の図で開存し残った腹膜鞘状突起(右側)の中に、お腹の中の臓器が入り込み、ソケイ部が膨らむ。

内ソケイヘルニア(内鼠径ヘルニア)

ソケイ部にある筋肉や筋膜組織は、お腹の中の臓器が外に出ないように保護する役目を担っています。
そしてこの組織を”後壁”と呼んでいます。
重いものを持ったり、強くいきんだりする事が多いと、この後壁と言う筋肉や筋膜組織に負担がかかり、弱くなり薄くなってしまいます。
すると、外ソケイヘルニアのように腹膜鞘状突起は無くても、お腹の中の臓器が外へ飛び出してしまいます。
これを内ソケイヘルニア(内鼠径ヘルニア)と言います。

外ソケイヘルニア

内鼠径ヘルニア
左の図で開存し残った腹膜鞘状突起(右側)の中に、お腹の中の臓器が入り込み、ソケイ部が膨らむ。

解剖図(男性、右側の場合)

外ソケイヘルニア

A:外ソケイヘルニア(外鼠径ヘルニア)嚢(腹膜鞘状突起の残り)
B:内ソケイヘルニア(内鼠径ヘルニア)嚢(後壁が弱くなったもの)
C:後壁
D:精索
E:筋肉(内腹斜筋)

ソケイ部を切開し開放すると(男性の場合)、精索(D)と呼ばれる組織があります。
精索とは、睾丸へ達する血管(動脈、静脈)、精管が集まったものです。
精索に沿って、ヘルニアが出現するのが外ソケイヘルニア(外鼠径ヘルニア)(A)で、これが腹膜鞘状突起の開存です。
一方、精索を剥離してその奥に出てくる筋肉や筋膜が後壁(C)です。
この構造が、弱くなってヘルニアを起こすのが内ソケイヘルニア(内鼠径ヘルニア)(B)です。

ソケイヘルニアの治療方針

なぜ治療が必要なのでしょう?
ソケイ部(股の付け根)が出っ張ると言う美容上の問題だけではありません。
長い間、お腹の中の臓器が出たり入ったりしている内に、脱出した臓器がお腹の中に戻らなくなることがあります。これを非観納状態といいます。
この非観納状態が長く続くと、血液の循環が悪くなり、脱出した臓器が腐ってしまいます。
これを“かん頓”と言います。
“かん頓”になると、ヘルニアの手術に加えて、腸を切除する手術も必要になる可能性が出てきます。
この“かん頓”と言う事態は絶対に避けねばなりません。
そのために、治療が必要で治療には「手術」が唯一の方法なのです。

麻酔法

局所麻酔を選択。
腰から下、全体に麻酔を効かせる腰椎麻酔と言う方法を選択すると、入院が必要となります。
しかし、ソケイヘルニア(鼠径ヘルニア)は、体表(表面)の手術なので、局所麻酔で充分なのです。

手術法

従来法
腹膜鞘状突起を認める場合はこれを切除します。
これを切除した後、従来法では、弱くなったソケイ部の筋肉、筋膜組織(いわゆる後壁)周囲の健常な組織を寄せ集めて、骨盤の骨(恥骨)の筋膜に縫い合わせて強くする方法です。
しかし、縫い合わせた部分の緊張が強くなり、張った感じや痛みといった症状が残ることがありました。
そして、再発する確立も10%前後と高い欠点がありました。

現在の標準術式(メッシュプラグ法

外ソケイヘルニア

腹膜鞘状突起を剥離します。腹膜鞘状突起は切除せず、お腹の中に反転し戻します。
戻した後、ヘルニアの袋である腹膜鞘状突起が出てきた穴の部分に傘状の人工筋膜(プラグメッシュ)を充填して塞ぎ、弱った後壁には、シート状の人工筋膜(オンレイパッチ)を充てて補強する方法です。
従来法では、再発の原因であった組織の緊張が無く、術後も早期に日常生活に戻れます。

メッシュプラグ法

皮膚切開

ソケイ部に沿って切開を加えます。

皮膚切開

ヘルニア門の処理

ソケイ部を展開し、ヘルニアの原因となっている腹膜鞘状突起(ヘルニアの袋)を露出します。

ヘルニア門の処理

プラグメッシュの挿入

脱腸の原因であるヘルニア嚢を切除するか、もしくは腹腔内に戻しその上から脱腸の原因となる出口を塞ぐようにメッシュプラグを挿入し、縫合固定します。

プラグメッシュの挿入

オンレイパッチの挿入(後壁の補強)

弱った後壁の上にシート状のオンレイパッチを乗せて、補強します。
後は皮膚を縫い合わせて終了です。

プラグメッシュの挿入

手術後の経過

手術後数時間安静の後、帰宅。当日は安静を保ちます。
翌日から日常生活が可能になりますが、運動や肉体労働は2~3週間経過してからが安全でしょう。

↑
PAGE TOP